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コロナ禍と恐怖映像ー心の健康確保へ留意を
新型コロナウイルスは子どもの生活を一変させた。ウィズコロナ、ソーシャルディスタンス、分散登校、個食黙食、修学旅行と行事の自粛、長く虐げられた子どもの生活は、戸外から屋内、そしてゲーム・テレビ・交流サイト(SNS)に変化した。この2年半、仕事柄多くの子どもと話す中で、子どもの心の健康が著しく侵害された懸念がある。思うにその懸念は、コロナ禍に被さり勃発したロシアによるウクライナへの軍事侵攻と阿部晋三元首相の暗殺事件である。
ロシアが侵攻して以降、崩壊したウクライナの映像が放映されない日はない。SNS投稿はかなり衝撃的で、戦闘映像を加工した悪意のフェイクニュースも紛れている。安倍元首相の暗殺事件も然り、繰り返し放映される発砲シーンには思わず眼を覆いたくなる。
今、誰もがコロナの不安を抱え、屋内生活を余儀なくされている。しかしテレビやSNSを通して心的負荷の強い映像を子どもが見る際は、十分な注意が必要である。児童精神医学的に、幼い子どもに刺激の強い映像を繰り返し見せてはいけないとする実証がある。小児期の体験が後の人生を左右する最大の要因となることは強調するまでもなく、けして大人が汚してはなりません。
現実から目を逸らすとの批判も理解できるが、政治を理解する大人に比べ、知識が浅く精神的に未熟な子どもが恐怖映像を見せられることは、二次的心的外傷後ストレス症候群 (PTSD) を発症するリスクにつながりかねない。過去の事実として、1990年8月の湾岸戦争、1995年1月の阪神・淡路大震災、2001年9月の米国多発同時テロ事件、そして2011年3月の東日本大震災など、いずれの後にもメディアの衝撃映像をみた多くの子どもが、トラウマ(心的外傷)からPTSDを発症した社会現象が知られている。
コロナ禍の子どもに最も必要なことは、戦争や暗殺事件の真実を知らせることでなく、周囲の大人が心の安心を確保することである。大人が目にするニュース報道を通じて、意図せず偶発的に目に飛び込む恐怖映像をから無防備な子どもの心を守るためにも、小さな子どもが不安になるメディア映像を繰り返し見せることは、絶対に避けるべきである。
引用:2022年(令和4年)7月16日(土) 下野新聞 子育て健やか教室④より
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