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学術雑誌の査読という社会貢献
学術研究論文の質を保つためにダブルブラインド形式のピア・レヴュー、つまり査読システムが重要であることは言うまでもありません。学会誌であれば学会理事や評議員等が専門的知識を有する最適な査読者を選定します。学術出版社ジャーナルであれば、専門領域のPhDを保有するレビュアーボードからジャーナル編集長が査読を依頼します。通常、1つの論文を複数の査読者が担当します。また、1度目の査読で掲載される論文は極めて少なく、多くは2回目ないし3回目の査読を経てから採否が決定し、異論がなければ受理されます。掲載率はジャーナルにより数%~90%以上と異なるのが実情です。つまり世界に発信された論文数の何倍もの査読者が陰ながら存在し、著者と議論を交わすことで、より専門性が高いジャーナルの質が形成されるのです。
コロナ禍以降、学術者間の人的交流が激減したこともあり、己の自己研鑽の意味も含めて、Springer、Elsevier、 Wiley- Blackwell、Frontiers、MDPI、Hindawiほか日本国内の雑誌も含めて、今年は出来る限り数多くの査読依頼を受けました。その中の1社、MDPIから2022年に43編の査読を担当したとして、Review confirmation certificateを頂戴しました。
あらためてカウントし直すと、今年は70編以上の査読を担当しました。感覚的にはほぼ毎日夜な夜な、世界中の研究者と投稿された論文を通して「顔を交わさない議論」を机上、卓上、PC画面上で交わしたことになります。
他の研究者の論文を精読しながら矛盾をあぶりだし、その一方で知識の及ばない疑問点については謙虚に質問をしてゆく学術雑誌の査読という作業は、自分自身の研究業績ばかりが評価されるポスドクの世界において、一見非効率なタイムパフォーマンス作業に感じられます。しかし、書籍でもインターネットでも検索しえない、まだ公開前の最新の医学情報に触れながら知のエビデンスを創る作業に関われることは、とても意義深い仕事であると日々感じています。小生お得意の誇大妄想癖もあり自分自身が年頭に描いた年間計画には遠く及ばなかった一年でしたが、世界中の見えない誰かの学術研究に広く関われたことで、少しは世の中の小児医療の発展に貢献できたかもしれないと、ひとり心に願っています。
【参考URL】
https://peerreviewweek.wordpress.com/
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