この度の訃報を知ったのは今朝の朝刊でした。先進医療に限界を感じて文学を志し、筆を執り始めたばかりの若輩無名の小生に温かい励ましの言葉をいただきました。PC/インターネット全盛の時代においても、届く葉書は濃紺のインクが滲む、癖のある手書きの万年筆でした。言論と表現の自由、そして核無き世界の平和をペンの力で実現するために尽力する先生の活動に、小生は強く共感しました。「医と筆の力で世の平和に貢献したい…」そうした思いから、日本PENクラブに書類を提出。そんな折の頃、小生に見覚えのある万年筆の葉書がまた届きました。そこには小生の未熟な発言や執筆活動に対する先生のお叱りの言葉が葉書いっぱいに綴られていました。ほどなくして小生のPENクラブ入会が棄却されたのは言うまでもありません。

　先生と小生の人生には、そんな細い光と光が交わる程度の接点しかありません。しかし、あの叱咤のおかげで、小生は目を覚ますことができたと深く感謝しております。あれから15年、医と筆の力で何かしら未来社会に貢献出来ないものかと未だに試行錯誤から抜け出せませんが、日々細々と出来る力で自分の道を歩んでいる所存です。浦安でお会いしてからもう随分になりますね。どうぞ安らかにお眠りください。

https://mainichi.jp/articles/20230313/k00/00m/200/076000c

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