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我慢のゴールデンウィーク政策
今年のゴールデンウィークは1都3県の知事による緊急メッセージ「我慢のGW」と称したコロナウイルス感染拡大の予防を謳うプロパガンダもあり、越県や路上飲酒の自粛が呼びかけられた。1920年に上野公園で開催され今年で101年目になるメーデーの労働組合大会も時代を反映してYoutubeでの開催となった。大型連休を前に政府が発表した案は「看護師500人のオリンピック派遣要請」で、これといって以前と同じ緊急事態宣言以外のコロナ感染拡大に対する新たな策は提案されなかった。都道府県知事は国会議員ではなく新たな法律を作り人の動きを制することができない。そのため4人の知事が政府と折衝して連休直前にメッセージを発したことは評価されなくもないが、この度のプロパガンダが感染拡大に功を奏するか否かは非常に疑わしい。成果は数週先の数字に明かされることになる。
クルーズ船以降、日本の水際対策は失敗に終わり台湾のようにはならなかった。自国のワクチン開発も遅れをとり、輸入ワクチンの確保力もイスラエルや英国には及ばなかった。米独PRコンサルティングKekst CNCが3月に発表した日・英・独・瑞 (スウェーデン)・仏・米による6か国世論調査では、東京五輪開催に反対する意見が日・英・独で過半数を占めていた。世界的なコロナウイルスの影響でインターネット市場が拡大した2021年、世論はSNS上で形成されていく。東京オリンピック開催まであと81日。人の往来はなくとも世界が自国と感染者数60万人を超えた日本の情報を鑑みてこう評価したデータに、日本に住む私たちは納得せざるを得ない。
今回の我慢のプロパガンダは、根拠のない性善説と精神論に依存した机上の政策である。人の動きをみると虚しい。政治はより科学なPolitical Scienceでなければならい。市民に「努力」ではなく「我慢」を強いるこのスローガンは、端的に言えば圧力的な政治手法である。この圧力には罰則規定も法的拘束力もなく、娯楽目的の長距離移動も何の罪にも問われない。台湾オードリー・タンの水際対策、イスラエルのワクチン確保力、ニュージーランドやオーストラリアの強いロックダウン政策など、コロナウイルスを制圧した政府の政策は精神論でなく科学的である。一時とても厳しい状況におかれたイギリスでボリス・ジョンソン首相は、警察が3人以上の集会を解散させる権限を持ち、不要不急の外出には60ポンドから最高3,200ポンド (40万円以上) もの罰金を科す策を施行し、実証的な抑制効果を上げている。
憲法の名の下に市民の民主主義が制限されてしまう現在のこの国の制度では、変わりゆく世界の常識からどんどん引き離されてしまう。展開の早い「新しい日常」を本気で制するならば、ドイツのように民意に従って頻繁に憲法を作り直した方が良い。国会議員が口にする「憲法を尊重し法に従う立場からロックダウンができない」という主張は、現実を直視しない政治家の怠慢もしくは国民に対する欺瞞ではないだろうか。コロナが長引くにつれ社会の格差は拡大していく。現在の日本国憲法の枠内においても、正当に制限された自由と相対的平等は、法の下の平等からも両立するはずである。
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