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不要不急を緩めることで医療現場は不眠不休に追い込まれる
開催直前まで医療と経済の最優先を声高に主張していたメディアが、オリンピックが始まるや否や一斉に精神論を唱えてはテレビ中継に勤しんでいる。手のひらを返して皮を被るメディアの有り様に、個人的には節操の無さを感じずにはいられない。片や今年で76回目となる2021年8月6日の広島原爆の日、世界のコロナウイルス感染者は2億人の大台を超えた。そして翌日8月7日の立秋、ついに国内の新型コロナウイルス感染者が100万人を突破した。明日8日に予定されている閉会式以降、メディアは国内感染者の急増を引き合いにして、今度はパラリンピックの中止を主張するのだろう。テレビ放送と対峙するSNSには、人々の不安に付け込むようなコロナワクチンに対する偽りの情報が溢れている。世論を煽るインフォデミックな情報を引き合いにして、自社サイトのアクセス数を伸ばして広告収入を稼ぐビジネスモデルは、モラルとリテラシーの欠如と言わざるを得ない。情報が混乱する緊急事態時には、表現の自由とは別の枠組みからも、より強い法的なインフォデミックに対する規制を設けるべきであろう。
然るに、人類が地球環境を破壊し続けた結果として新型コロナウイルスが武漢で発生したのか、それともこれも自然の摂理だったのか、依然としてその痕跡は解明されていない。しかしこの1年半に中国から全世界に広がった一連のパンデミックの過程は、けして奇遇ではない。人の移動が原因である。既に世界中に多くの人流を基盤とする感染拡大の実証データがある。こうした統計学的根拠に対して「エビデンスはない」と言い放ち、Go to トラベルを断行後に感染者が増加した第3波、そして五輪を強行開催して以後、現在も急増している先の見えない第5波という不都合な真実は、けして自然災害ではなく、ともに政策の転換により防げたはずの人為的災害がもたらした結果である。政府が安易に不要不急の手綱を緩めたことで、医療現場を不眠不休に追い込んだ責任は重い。
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