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国家ミサイル防衛システムの現状と危機管理
日本国内が緊急事態宣言と自民党総裁選挙に踊らされる中、9月11日、12日、そして15日に2回、さらに28日と計5回におよび北朝鮮から日本海に向けて大気圏内外を通過する弾道ミサイルが発射された。その内問題となる9月15日のミサイルについて防衛省は、石川県能登半島沖200海里外の排他的経済水域(EEZ)圏外に落下したものと分析した。しかしその後の韓国軍の分析によれば、弾道ミサイルは通常のミサイルと異なる変則軌道を呈し、最終的に日本のEEZ圏内に落下したと結論付けられた。国家の安全基盤を脅かす北朝鮮から日本のEEZ圏内へのミサイル発射は、2019年10月にも島根県沖合に向けられ落下している。今回、防衛省と韓国軍の間でミサイル軌道の分析結果に食い違いが生じた背景に、この度発射されたミサイルが移動中の鉄道列車の荷台から発射された新型ミサイルであり、事前の発射予測が出来ず、発射された時点の列車の通過場所の特定が困難であった点がある。また28日に発射されたミサイルについて北朝鮮メディアは、新型ミサイル「火星8型」であると発表した。この新型ミサイルは国連安全保障理事会に反した極超音速ミサイルであり、国連は米英仏の要請で10月1日に非公開緊急会合を開いたが、中国とロシアの合意はなく国連決議違反には至らなかった。北朝鮮は自国のミサイル実験を非難されたとして、10月3日に朝鮮中央通信を通じて国連の判断を断固拒否している。
北朝鮮は4年前の2017年9月の時点で6度目の核実験を秘密裏に行い、以後この数年は開発した核弾頭を搭載可能なミサイル発射実験に莫大な資金をつぎ込んでいる。つまり一連の北朝鮮のミサイル発射実験の目的には、独自に開発した小型核弾頭を搭載可能なミサイルの制度を高める狙いがある。鉄道列車移動式のミサイル発射装置や新型ミサイル火星8型の実践配備が可能となると、現在の日本のミサイル迎撃システムのみで撃ち落とすことは非常に困難となる。もし実際に北朝鮮から日本に核弾頭ミサイルが発射された際、本土到着まで要する時間は政府のシュミレーションでは僅か8分足らずしかない。こうした現状を踏まえて内閣官房は「弾道ミサイル落下時の行動」についてQ&Aや行動指針を啓発している。また緊急時にスマートフォンで情報を伝えるJアラート網を整備している。
詳しくは以下のサイトを参照いただきたい。https://www.kokuminhogo.go.jp/kokuminaction/index.html
我々は近年浮き彫りになりつつある日本のミサイル防衛システムの脆弱さと迫りくる危機について、国家の現実を真摯に受け止めなければならない。
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