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短期政権の利点と欠点
日本の総理大臣は主として衆議院から選ばれる。衆議院の任期は4年なので、これに従えば総理大臣の任期も4年となる。しかし現実的には汚職問題や衆参議員のねじれ等で衆議院が解散すると、内閣は総辞職をしなければならない。すると自動的に総理大臣も席を降りることになる。この繰り返しにより総理大臣の在任期間は短い傾向になるが、昨今の政治をみると必ずしも長期政権が良いとも限らない。
一般に、短期政権は否定的に扱われることが多い。しかしその利点として、汚職事件が起きにくく、愚策な政治案の方向転換ができるメリットがある。戦後最長となった安倍政権下には、森友学園、赤木ファイル、加計学園問題など大きな汚職事件が複数起きている。詳細が明らかにされていないこれらの問題の犯罪性は別として、長く政権が続くという前提条件があると、国家の私物化を生んでしまう。つまり短期政権には独裁のリスクを下げる利点がある。愚策の転換がしやすい例としては、安倍政権を代表する愚策である低品質マスクの配布がある。市場にマスクが出回る時期に差し掛かかり、多くの国民から不要の声があったにも関わらず、安倍政権は膨大な国費をつぎ込み2度のマスク配布を行なっていた。この愚策は菅政権に変わることで方向転換を遂げ落着しているが、結局のところ8200万枚以上(時価総額118億円相当)もの配布しきれていないマスクが厚労省の委託倉庫に在庫されたままである。
一方、頻回に政権が交代する欠点は、国民の信頼を得られないことだ。民主党政権時代、内閣支持率が下がると総理大臣は度々頭を下げて引責辞任をしていたが、これでは信頼は得られない。最近2回の交代については、安倍総理の退任は体調不良、菅政権の退任は総裁選不出馬であり、表向きには国民支持率の低下による引責辞任ではない。しかし共に当時の状況を振り返ると、内閣支持率が最も低下したタイミングで首相が交代している。自民党は政権与党を保つために、政党の信頼を維持しながらタイミングをみて首相交代を行う傾向が強い。新たな総裁選挙の前にはマス・メディアが一定期間自民党議員ばかりを放映し続ける。いつしか国民は自民党議員の顔を覚え、どの候補が良いかと井戸端会議に乗せられてしまう。そうしたSNS工作も相まって、首相交代以前と比較すると新しい内閣が発足する頃には、再び内閣支持率が上昇する傾向があるのだ。つまり政権与党の信頼の暴落をカバーできるのであれば、政党議員は総理大臣を変えてまでして、内閣と党の支持率を回復させる奇策をとるのだ。
こうした奇策を幾多も繰り返している現状を垣間見ると、衆議院任期満了までの4年間を務め上げる総理大臣を期待するのも一長一短で途方に暮れるだけであろう。
日本共産党赤旗新聞 アベノマスク: https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-10-28/2021102801_02_0.html
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