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My Opinion2021.11.01

今こそ五輪を振り返るべきである

 第49回衆議院総選挙が10月31日に開票され、自民党が単独過半数以上となる233議席を確保してその幕を閉じた。令和3年4月に発出された緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置も、この9月30日をもって全都道府県で解除されたばかりだ。2021年秋冬に向けて、やっと新しい日常を形作っていく時が訪れたと思える。ただし先に進むためには前だけを見つめればよいというものではない。過去を清算することは、節目として絶対に必要なことである。東京五輪開催に向けて私たちが歩んだ道のりとは何だったのか。2021年9月5日に五輪は終わりを宣言したにも関わらず、その総括や問題となる最終的な経済波及効果について、未だに政府から国民に具体的な説明がない。政権交代や選挙に政府は忙しいかもしれないが、コロナ禍の五輪は国を総動員した国家事業である。終わりよければすべて良しだけでは、けして済まされない。


 2020年春以降、安倍首相の3密政策を国民は信用し、個人個人が行動の自粛を守り続けてきた。振り返るに残念ながら、この場当たり政策だけではさしたる感染防止効果は得られなかった。しかし夏休みに入りデルタ株など新型ウイルスの流行があったにも関わらず、また人々の動きが徐々に賑やかさを増していたにも関わらず、オリンピック真っ最中の2021年8月23日を境に新規感染者数は減少し続けた。つまり新規感染者が減少した理由は、社会全体が夏場に密を避ける行動をより強化したからではない。季節が秋に変わり緊急事態宣言解除を迎えられた最大の理由は、国民全体のワクチン接種率が上昇したからに他ならない。

 未だ8,000万枚以上、約120億円相当の配布しきれていないマスクが厚労省の委託倉庫に眠る愚かなマスク事業や、過剰とも思える営業自粛を敷いた飲食店のアルコール対策、航空業界や旅行業は低迷し、医療環境は激減した。そして民間には大規模イベント開催を許可しなかったにも関わらず、五輪だけは有観客で競技場ではアルコール販売を行うなど、無駄な議論や政策に費やしていた時間とエネルギーと費用を、ワクチン戦略一本につぎ込んでいたならば、我々はこれほど長期の自粛を強いられることはなかっただろう。 

 既にその頃、先例としてイギリスやイスラエルではワクチン戦略の成功がエビデンスとして証明されていた。政府は感染症専門家の意見に真摯に耳を傾けるべきだったのではないか。長引いた緊急事態宣言により国は経済的損失を負い、多くの国民が生活の基盤を失った。そしてコロナウイルスにより幾多の命が奪われている。自粛期間が長引いた分だけ、その後の国民の税負担は重くならざるを得ない。今年5月10日時点のブルーグバーグの調査では、日本のコロナワクチン接種率はOECD(経済協力開発機構)に加盟する先進37か国中で最も低い順位であった。仮に日本のワクチン接種戦略が、今より6か月ほど早く実施されていたならば、東京五輪の姿や国民生活の負担は随分と変わっていたことだろう。

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