お知らせ
『獨協医学会雑誌』新編集長に就任
獨協医学会雑誌の新編集長に就任しました。Vol.49, No.1, 2022より挨拶文を転載します。どうぞ宜しくお願いします。
平素より『獨協医学会雑誌 (Dokkyo Journal of Medical Sciences: 略称 DJMS) 』をご支援いただき、誠にありがとうございます。新編集長の今高城治と申します。この度、前任の石光俊彦先生より銀のバトンを引き継ぎました。『獨協医学会雑誌』は来年で50周年。国内医学部の発刊誌としては長い歴史をもつ由緒あるジャーナルのひとつです。今年度から本誌は、英文誌として創刊した『Dokkyo Medical Journal (略称 DKMJ)』と分冊化し、和文誌として新たな門出を迎えることとなりました。
昨今、アカデミアを巡る雑誌の潮流は、国際標準でなければ淘汰されてしまう時代を迎えています。国際誌のスタンダードとは、英文誌であることは勿論、要はオンラインジャーナルであるか否かです。創刊以降、医学情報を世界へ発信してきた本誌も方策を二途に、PubMED を目指す英文誌 (DKMJ) と、和文誌 (DJMS) に枝分かれしました。そして今、DJMSをオンライン化するか、冊子体のまま継続するかの二択について、会員諸氏に問う必要性に直面しています。その理由は、紙媒体は電子記録に適さないからです。
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を文庫本で読むのと電子書籍とでは所感が異なります。ネットスラング的な懐古厨で、「日本語は紙媒体につきる」と思うのは小生だけではないでしょう。しかし医学情報は文学ではなくサイエンスです。科学者に求められるは和文を科学的かつ客観的に読む力です。さらに和文を電子媒体にするメリットはその先にあります。人類と言語学の挑戦はロゼッタストーン然り。年々極まる翻訳アプリの進化により、近い将来「言語の壁」は必ず無くなります。翻れば和語と異なる言語のコミュニティが日本語へアクセスし、自らの母語で和文を理解することが可能となります。つまり和文で書かれた医学論文を電子化保存する作業が、将来的に言語や国境を越えたグローバルコミュニティで共有できる医学情報の原石となるのです。
会員諸氏から投稿いただいた玉稿を未来永劫に繋ぐため、和文誌編集室では DJMS を「医学中央雑誌 Web 版」だけでなく、国立国会図書館データベース「CiNii」とリポジトリを開始しました。過去の症例報告や学位論文も国際パブリックライセンスのクリエイティブ・コモンズに則り、図書館の書棚に眠る資料から世界に発する情報へ変換を遂げました。そして今、編集室が目指す喫緊のステップは、和文誌をJ-Stage や Google Scholarの検索エンジンに掲載させることです。
以上,やや風変わりな挨拶になりますが,編集室では忌憚のないアイデアを随時歓迎しています。
前例踏襲に逆行することなく、時代をリードした先導的な和文医学誌を創造する『獨協医学会雑誌 (DJMS) 』のこれからに、皆さま、どうぞご期待ください。